人生で味わった「やり遂げた!」記憶を、これからの活力と自信に繋げる方法
私たちの人生は、様々な経験の積み重ねです。その中には、心躍る喜びや穏やかな安らぎだけでなく、「これは大変だったけれど、やり遂げた」と感じるような、努力と達成の記憶も多く含まれているはずです。これらの記憶は、単なる過去の出来事としてしまっておくにはあまりにもったいない、現在の私たちを支え、未来を拓くための大切な宝物です。
特に、人生の節目や変化の時期には、過去の「やり遂げた」記憶が大きな意味を持ちます。将来への漠然とした不安を感じたり、今の自分に自信が持てなくなったりしたときこそ、かつての達成感を思い出すことが、前向きな一歩を踏み出す力となるのです。
「やり遂げた」記憶が、なぜ今、力になるのか
心理学では、過去の成功体験を思い出すことが、自己効力感(「自分にはできる」という感覚)を高めることが知られています。自己効力感が高い人は、困難な課題に対しても諦めずに挑戦し、粘り強く取り組む傾向があります。
私たちの人生において、「やり遂げた」経験は、仕事での成果や資格取得のような大きなことから、大変だった家事や育児を日々こなしたこと、長年続けてきた趣味での成長、人間関係での小さな改善など、多岐にわたります。規模の大小に関わらず、あなたが「あれは大変だったけれど、よくやったな」「あの時は頑張ったな」と感じるすべての経験が、現在のあなたの自信や活力の源泉となりうるのです。
しかし、日々の忙しさの中で、これらの大切な記憶は霞んでしまいがちです。あるいは、謙遜や自己否定の気持ちから、「たまたまだ」「大したことない」と過小評価してしまうこともあるかもしれません。だからこそ、意識的に過去の「やり遂げた」記憶をたどり、現在の自分にどのように活かせるかを考えてみることが大切なのです。
過去の「やり遂げた!」記憶を見つけるワーク
まずは、あなたの人生の中に眠る「やり遂げた!」という感覚を伴う記憶を見つけるワークから始めてみましょう。
ワーク1:人生のターニングポイントと達成感を書き出す
ノートや大きめの紙を用意し、これまでの人生を振り返ってみましょう。以下の問いを参考に、特に「大変だったけれど、やり遂げた」「あの時頑張ってよかった」と感じた出来事を書き出してみてください。
- 学生時代の経験(勉強、部活動、アルバイトなど)
- 仕事やキャリアに関する経験(初めての仕事、プロジェクトの成功、昇進、転職、働き方の変化など)
- 結婚、出産、子育てに関する経験(特に大変だった時期、乗り越えたこと)
- 家族や人間関係に関する経験(大切な人を支えたこと、関係性を改善したこと)
- 趣味や習い事に関する経験(目標達成、継続したこと)
- 健康や生活習慣に関する変化(ダイエット、運動習慣、病気の克服など)
- 予期せぬ困難や試練を乗り越えた経験
年表のように時系列で書き出すのも良いですし、思いつくままリストアップする形でも構いません。「大したことない」と決めつけず、少しでも「やり遂げた感覚」があった出来事を書き出してみましょう。
ワーク2:達成感の記憶を深掘りする
ワーク1で書き出した出来事の中から、特に印象深いもの、あるいは今の自分が力を借りたいと感じるものをいくつか選んでみましょう。それぞれの出来事について、以下の問いに答える形で、当時の状況や感情を詳しく思い出してみてください。
- それはどんな状況でしたか? 具体的に何が大変でしたか?
- その目標や課題を達成するために、あなたは具体的にどのような行動をとりましたか? どんな工夫をしましたか?
- その過程で、あなたのどんな強みや能力が活かされましたか?
- その出来事を「やり遂げた」と感じた時、あなたはどんな気持ちでしたか?(嬉しさ、安堵、誇り、自信など)
- その経験から、あなたはどんなことを学びましたか?
- その経験を通じて、あなたの人生にどんな良い変化がありましたか?
これらの問いに答えることで、当時のあなたの頑張りや、そこから得られたものがより鮮明になるでしょう。
過去の達成感を、今の活力と自信に変える方法
見つけ出し、深掘りした「やり遂げた」記憶は、どのように現在の自分に活かせるのでしょうか。
1. 当時の「自分の力」を再認識する
深掘りワークで思い出された、目標達成のためにとった行動や工夫、発揮された強みや能力は、まさにあなたが既に持っている力です。「あの時の自分には、困難な状況でも諦めずに続ける粘り強さがあった」「状況を打開するためのアイデアを出す力があった」「周りの人を巻き込む力があった」など、具体的な自分の力を言語化してみましょう。
そして、その力は決して過去のものではなく、今のあなたの中にも確かに存在していることを認識してください。「あの時できたのだから、今だってきっとできることがある」という静かな自信が生まれてくるはずです。
2. 現在の課題に「過去の成功パターン」を応用するヒントを得る
過去の「やり遂げた」経験における成功パターンは、現在の課題解決にも応用できるヒントを含んでいます。
例えば、かつて仕事で初めての業務に挑戦し、試行錯誤の末に成功した経験があるとします。その時、あなたは「まずは小さなことから始めてみた」「詳しい人に質問してみた」「関連書籍で勉強した」「毎日少しずつでも手を動かした」といった行動をとっていたかもしれません。もし今、あなたが新しいことへの挑戦や、苦手なことに取り組む必要に迫られているなら、過去に成功した時と同じように「まずは小さく始める」「詳しい人に聞く」といったアプローチを試してみてはどうでしょうか。
3. 達成感を思い出す習慣を持つ
過去の達成感の記憶は、意識的に思い出すことでその効果を発揮します。毎日の終わりに「今日、小さなことでもやり遂げたことは何か?」と考えてみる習慣をつけるのも良いでしょう。あるいは、週に一度、過去の大きな「やり遂げた」経験を一つ取り上げ、改めて当時の自分を褒めてあげる時間を持つのもおすすめです。
このように過去の達成感を定期的に思い出すことは、日々の小さな成功を見逃さず、それが将来に繋がることを教えてくれます。
人生の「やり遂げた!」記憶は、未来への羅針盤
過去の「やり遂げた!」記憶は、私たちが困難を乗り越える力、目標を達成する力を持っていることの確かな証拠です。これらの記憶を単なる昔話で終わらせず、丁寧にひも解き、現在の自分の力として再認識することで、私たちはより穏やかで確かな自信を持って日々を送り、新しい一歩を踏み出す勇気を得ることができます。
あなたの人生には、あなたが思っている以上に多くの「やり遂げた」経験が輝いているはずです。それらの光を、これからの人生を照らす羅針盤として、ぜひ活用してみてください。きっと、あなたの毎日がさらに輝き始め、未来への道が明るく感じられるようになるでしょう。